「なぜ不採択?」の本当の理由は加点不足にある

補助金申請をした経営者から、こんな声をよく耳にします。

「事業計画書には自信があったのに、不採択だった…」

事業計画の内容が問題なかったとしたら、もう一つの可能性を考えてください。
「加点項目」の準備不足ではありませんか?

補助金審査は、大きく3段階で行われ、「基礎審査(要件適合の確認)」「書面審査(事業計画の評価)」、そして「加点審査(政策的優遇措置)」です。

書面審査で横並びになった申請者の中から最終的に採択・不採択を決めるのが加点審査です。
つまり、加点の有無・数が採択の土俵を決めるといっても過言ではありません。

この記事では、中小企業経営者が知っておくべき補助金加点項目の全体像と、優先して取得すべき加点の実務テクニックを解説します。

そもそも「加点項目」とは何か?

加点項目とは、審査時に特定の条件を満たす事業者を優先採択するための制度です。
政府の政策目標(賃上げ・DX推進・事業承継など)に沿った取り組みを行っている事業者を積極的に支援するために設けられています。

重要なポイントは以下の2つです。

①加点は「申請時に準備していないと使えない」
加点を受けるには、申請時に証明書類を添付する必要があります。
採択後に「あの加点が使えたのに」と気づいても手遅れです。

②加点の重みは補助金ごとに異なる
加点項目の種類・数・重要度は補助金ごとに異なります。
今から準備する補助金の加点構造を正確に理解することが、採択への近道です。

【もの補助、持続化補助金】の加点項目

◆ ものづくり補助金(2025年公募)の加点項目

ものづくり補助金では、最大6項目について加点の申請が可能です。主な加点項目は以下の通りです。

加点項目概要取得難易度
①経営革新計画都道府県知事等の承認を受けた計画★★★(2〜3ヶ月)
②パートナーシップ構築宣言サプライチェーン等への取組宣言★☆☆(当日〜数日)
③再生事業者再生支援協議会等の支援対象者該当者のみ
④DX認定IPAのDX認定を取得済み★★★(数ヶ月)
⑤健康経営優良法人認定日本健康会議からの認定★★☆(数ヶ月)
⑥賃上げ加点63円以上の事業場内最低賃金引上げ★★☆
⑦事業継続力強化計画中小企業庁の認定計画★★☆(1〜2ヶ月)
⑧くるみん・えるぼし認定育児・女性活躍推進の認定★★★
⑨被用者保険適用拡大パート等の社会保険適用★☆☆

さらに賃上げ関連の新加点が2つ追加されました。

①最低賃金近傍で一定期間3ヶ月以上雇用している従業員が全従業員の30%以上いる事業者
②事業場内最低賃金を63円以上引き上げた事業者が加点対象となります。


◆ 小規模事業者持続化補助金(第19回公募)の加点項目

加点審査では、「重点政策加点」と「政策加点」からそれぞれ1種類、合計2種類まで選択できます。

【重点政策加点】から1種類を選択

加点項目内容
赤字賃上げ加点賃金引上げ枠で申請する赤字事業者
最低賃金近傍雇用加点最低賃金近傍で雇用している従業員が一定割合以上

【政策加点】から1種類を選択

加点項目内容
賃上げ加点事業終了時点で最低賃金+30円以上の賃上げ
事業承継加点代表者60歳以上かつ後継者が補助事業を実施
経営力向上計画加点経営力向上計画の認定を受けている
地方創生型加点地域資源型・地域コミュニティ型の計画策定
東日本大震災加点原発事故の影響を受けている事業者
くるみん・えるぼし加点子育て・女性活躍推進の認定企業

【優先順位別】今すぐ取りかかるべき加点はこれだ

加点項目は「取れるものをすべて取る」のが理想ですが、時間と労力には限界があります。
優先すべき加点を3つの視点で整理します。

① パートナーシップ構築宣言(ものづくり補助金)

ポータルサイトに登録するだけで加点対象になります。
費用ゼロ、手続きは数日で完了、申請予定があるすべての事業者に最初に実施してほしい加点です。

② 賃上げ加点(ものづくり補助金・持続化補助金)

賃金台帳など既存書類を準備するだけで申請できます。
本来は事務所に保存すべき台帳ですが、きちんと管理していますか?

ものづくり補助金では、事業場内最低賃金を63円以上引き上げた事業者が加点対象となるほか、最低賃金引上げに伴う補助率引上げ(1/2→2/3)の特例も受けられます。
賃上げを検討している経営者にとっては一石二鳥の施策です。

③ 事業継続力強化計画(ものづくり補助金)

中小企業庁が認定する防災・減災計画です。
計画書作成から認定まで約1〜2ヶ月かかりますが、書式は標準化されており、補助金申請サポートの専門家と進めれば効率的です。
補助金審査以外にも、融資や取引先への信頼向上など多くのメリットがあります。

④ 経営力向上計画(持続化補助金)

中小企業等経営強化法に基づく計画で、税制優遇(即時償却・税額控除)との組み合わせが可能です。
補助金の加点以外にも活用価値が高く、早期取得を強くお勧めします。

優先度「中」─計画的に取得する加点

⑤ 経営革新計画(ものづくり補助金)

計画書は25〜30ページと分量が多く、審査から都道府県知事等の承認まで2〜3ヶ月を要します。
都道府県によって難易度が大きく変わります(東京都は難です)

ただし、承認を受けた企業は補助金の加点以外にも、政策金融公庫の特別利率や信用保証協会の優遇など、多くの金融面でのメリットを享受できます。

⑥ DX認定(ものづくり補助金)

IPAが認定するデジタル化推進の取り組み認定です。
中小企業にとってDXへの本気度を示す重要な認定であり、取得自体が経営の強化につながります。
最近では大企業手前の企業が積極的にトライしている認定です。

採択率を上げる「加点×事業計画書」の連動戦略

加点項目は「証明書を添付するだけ」ではありません。
事業計画書の中身と加点項目を連動させることで、審査委員への訴求力が格段に上がります。

具体的には次の方法が効果的です。

賃上げ加点を取る場合:
事業計画書の中に「今回の設備投資によって生産性が向上し、その成果を賃上げに還元する」という因果関係を明記する。
数字(賃上げ金額・時期)も含めると説得力が増します。

経営革新計画承認を受けている場合:
承認を受けた計画と補助金で取り組む事業の整合性を事業計画書で示す。
「この補助金事業が経営革新の実現手段」であることを論理的に説明する。
逆に関係の無い経費を申請すると、マイナスイメージが付きますのでご注意ください。

パートナーシップ構築宣言の場合:
宣言の内容(取引先への配慮、価格転嫁など)と補助金事業がどう関係するかを一文入れるだけで、審査委員へのアピール度が変わります。

「加点を取れる状態」を常に維持する経営が強い

即日から2週間で取得できる加点以外は、公募開始後に加点の準備を始めても間に合わないケースがほとんどです。

採択率の高い事業者に共通しているのは、「次の補助金申請に備えた加点準備を日常的な経営活動として組み込んでいる」点です。
要は、計画的に加点項目を申請、取得しています。

具体的には:

  • 毎年更新が必要な加点(健康経営優良法人など)はカレンダーに更新時期を入れておく
  • 賃金台帳は常に整備しておく(急な申請にも対応できる)
  • 事業継続力強化計画・経営力向上計画は一度取得したら定期的に更新・見直しを行う

「補助金を使いたい」と思ったときに、すでに加点準備が整っている状態を作ることが、繰り返し採択される事業者の秘訣です。

まとめ:加点を制する者が採択を制する

補助金採択は、事業計画書の質だけで決まりません。
加点項目の準備が、同等の事業計画を持つ申請者の中から選ばれるための決定的な差になります。

今すぐできるアクションをまとめます:

  1. パートナーシップ構築宣言を今すぐ登録する(無料・数日で完了)
  2. 賃上げ加点の要件を確認し、今期の賃金計画に組み込む
  3. 事業継続力強化計画・経営力向上計画の取得スケジュールを立てる
  4. 次の申請に向けて加点カレンダーを作成する

「何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
お客様の状況に合わせて、取得すべき加点の優先順位を整理し、採択に向けた戦略を一緒に考えます。

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