新事業進出補助金では、「ジャンル・分野」を正しく切り分けた上で、「新市場性」または「高付加価値性」のどちらで訴求するかを明確にすることが重要です。
でも、この「ジャンル・分野」「新市場性」「高付加価値性」について、公募要領、「新市場・高付加価値事業の考え方」の記載が少々曖昧です。
申請要件での「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」
この点については公募要領に記載があります。
① 製品等の新規性要件
事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること。② 市場の新規性要件
事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること。
新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
簡単にまとめると以下のようになります。
製品等の新規性要件:自社にとって新しい製品・サービスか。
市場の新規性要件:既存事業とは異なる顧客層・市場か。
これ以降は審査項目においての用語解説です。
ジャンル・分野とは何か
- 新市場性の審査では、まず「新規事業で提供する製品・サービスがどのジャンル・分野に属するか」を特定することが求められています。
- ジャンル・分野は、製品等の「種類」レベルの大きな区分です。
- 「性能・サイズ・素材・価格帯・地域・顧客層」などの条件を削除するよう指示されています。
- 例:
「半導体製造装置用の大型部品の製造を行う事業」⇒「半導体製造装置部品」
「介護施設向けの栄養価の高い大豆食品の製造を行う事業」⇒「大豆食品」
「東京都港区で高級焼肉店を経営する事業」⇒「焼肉店」
「高所得層向けプライベートサウナを経営する事業」⇒「サウナ」 - その上で、「既存事業のジャンル・分野」と「新事業のジャンル・分野」が明確に異なる場合に、新事業進出要件(市場の新規性など)が満たされる、という整理です。hojokin-joseikin+2
新市場性の考え方
審査項目での「新市場性」は、「自社にとって新しいか」(←申請要件)ではなく、「社会全体から見て、そのジャンル・分野がまだ一般的に普及・認知されていないか」で判断されます。
新市場性で申請する場合は、
- そのジャンル自体がまだ普及途上(例:特定の先端DXサービス、次世代エネルギー関連サービスなど)。
- 統計・市場調査等で「新しい分野である」「市場規模は成長途上」と説明する必要がある
高付加価値性の考え方
審査項目での「高付加価値性」は、「同じジャンル・分野の中で、どれだけ高い付加価値(=高価格や高い生産性・利益率)を実現できるか」です。
同一のジャンル・分野の中で、当該新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。
⚫ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格が調査・分析されているか。
⚫ 新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。高付加価値化・高価格化の源泉となる価値・強みの分析がなされており、それが妥当なものであるか。
「ジャンル・分野」は一般的に普及、認知されているが、その分野の中で“ハイエンド・高付加価値路線”を目指すパターンです。
付加価値の源泉
高付加価値性を説明する際は、以下のような要素を、競合と比較して定量的に示すことが求められています。
- 技術性(独自アルゴリズム、特許、専門ノウハウ)
- 品質・機能(性能指標、サービスレベル、稼働率など)
- 顧客体験(ワンストップ対応、サポート体制、UX等)
- 価格戦略(なぜ相場より高くても選ばれるのか、その根拠)
「新市場性」と「高付加価値性」の違いと使い分け
| 項目 | 見る対象 | 代表的な問い |
|---|---|---|
| 製品等の新規性(要件) | 自社 | 自社にとって新しい製品・サービスか。 |
| 市場の新規性(要件) | 自社 | 既存事業とは異なる顧客層・市場か。 |
| 新市場性(審査項目) | 社会全体 | 社会的に普及度・認知度が低いジャンル・分野か。 |
| 高付加価値性(審査項目) | 同じ分野内の相場 | 同ジャンルの一般的水準より明確に高付加価値・高価格か。 |
選択手順
1.新事業の内容から「ジャンル・分野」を決定する(形容詞を削除する)
このジャンル・分野次第で以下の判定が変わります。
2.「ジャンル・分野」自体が、「社会において普及度・認知度が低い」
⇒新市場性での申請を検討する
3.2でないなら「高付加価値性」で申請を検討する
⇒同ジャンル・分野で差別化、高付加価値性、高価格化をアピールする。
例:
- ジャンル自体が目新しい・ニッチ →「新市場性」でアピール。
- ジャンルは一般的だが、ハイエンド・高単価モデル →「高付加価値性」でアピール。
以上、「ジャンル・分野」「新市場性」「高付加価値性」について解説しましたが、申請にあたり不明な点がありましたら、お気軽に行政書士飯島事務所までお問い合わせください。
