東京都「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」に2025年2月下旬から新設される賃上げ重点コース。従来の一般コースと何が違うのか、自社が対象になるのか、わかりにくいという声を多くいただきます。
この記事では、賃上げ重点コースの要件を徹底解説し、対象になりやすい会社・なりにくい会社を明確に判定できるようにまとめました。
賃上げ重点コースとは?
賃上げ重点コースは、東京都が持続的な賃上げを実現したい中小企業を重点的に支援するために新設した助成金コースです。
制度の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助限度額 | 800万円 |
| 補助率 | 4分の3以内(中小企業)、5分の4以内(小規模企業) |
| 補助期間 | 交付決定から1年間 |
| 特徴 | 賃金引上げ計画の策定・実施が必須 |
| 募集開始 | 2025年2月下旬予定 |
最大のポイント:一般コースでは「賃上げは任意で助成率アップ」でしたが、賃上げ重点コースでは「賃上げ計画が必須条件」となり、その代わりに助成率が最初から高く設定されています。
(一般コースでの賃上げ加点との違いは未発表です)
| 項目 | 賃上げ重点コース | 一般コース(第6回以降) |
|---|---|---|
| 対象要件 | 下記要件①~③のいずれか1つ | 同じ |
| 賃上げ計画 | 必須 ※常時使用する従業員が1名以上いること | 不可(第6回は賃上げ計画を提出できない) |
| 助成率 | 中小企業:4分の3、小規模企業:5分の4 | 一律:3分の2 |
| 助成限度額 | 800万円 | 800万円 |
| 募集時期 | 2025年2月下旬~ | 2026年3月2日~3月13日 |
【一発判定】3つの対象要件チェック
賃上げ重点コースの対象となるには、以下の3つの要件のいずれか1つに該当する必要があります。
✅ 要件①:2023年比で売上減少
直近決算期の売上高が「2023年の決算期」と比較して減少している。
2023年決算期の売上高 > 直近決算期の売上高
対象になりやすい会社
- コロナ後の需要変化で顧客が減った飲食・宿泊業
- 物価高騰で顧客の購買意欲が減退した小売業
- 人手不足で受注を断らざるを得なかった建設業・運送業
- インバウンド依存から脱却できていない観光関連業
対象になりにくい会社
- 2023年以降、順調に売上を伸ばしている成長企業
- DX化やEC強化で売上を維持・拡大できている企業
✅ 要件②:直近決算で赤字
直近決算期において損失を計上している。
直近決算期の当期純損益 < 0(赤字)
対象になりやすい会社
- 原材料費・エネルギー費の高騰で利益が圧迫された製造業
- 人件費上昇に価格転嫁が追いつかなかった企業
- 設備投資や新規事業で一時的に赤字となった企業
対象になりにくい会社
- 黒字決算を継続している企業
- 営業利益は黒字だが、特別損失で赤字になった企業(ケースバイケース)
✅ 要件③:米国関税の影響見込み
米国関税措置による影響により、次期決算期の売上高が直近決算期と比較して減少することを見込んでいる。
米国関税の影響を具体的に説明できる
↓
次期決算期の売上見込み < 直近決算期の売上高
対象になりやすい会社
- 米国向け輸出を行っている製造業
- 米国市場に依存する取引先を持つサプライヤー
- 関税の影響で原材料調達コストが上昇し、売上減少が見込まれる企業
対象になりにくい会社
- 国内市場のみで事業を展開している企業
- 米国との取引が全くない企業
- 関税の影響を具体的に説明できない企業
【重要】賃金引上げ計画の条件
賃上げ重点コースでは、上記の要件に加えて賃金引上げ計画の策定・実施が必須です。
賃上げ要件の詳細
賃上げ要件は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画期間 | 補助事業完了月の翌月から12ヶ月間 |
| 引上げ目標 | 給与支給総額を基準の2%以上増加 |
| 対象従業員 | 常時雇用する従業員(役員・派遣社員を除く) |
| 達成できない場合 | 助成率が3分の2に減額 |
対象になりやすい会社・なりにくい会社【総括】
◎ 対象になりやすい会社
経営状況 以下のいずれかを満たす
- 売上が2023年比で減少している
- 直近決算で赤字を計上した
- 米国関税の影響を受ける見込みがある
従業員体制
- 賃上げの原資を確保できる見込みがある
- 補助金を活用して生産性向上 → 賃上げのサイクルを作りたい
△ 対象になりにくい会社
従業員体制
- すでに高水準の賃金を支払っており、これ以上の引上げが困難
申請前の確認チェックリスト
以下のチェックリストで、賃上げ重点コースの対象になるか確認しましょう。
□ 基本要件
- [ ] 東京都内に登記簿上の本店または支店がある
- [ ] 中小企業または小規模企業に該当する
- [ ] 税金・都への債務を滞納していない
□ 対象要件(いずれか1つ)
- [ ] 直近決算の売上が2023年決算比で減少している
- [ ] 直近決算で赤字(損失)を計上している
- [ ] 米国関税の影響で次期売上減少が見込まれる
□ 賃上げ計画
- [ ] 賃金引上げ計画を策定できる
- [ ] 計画を実行できる見込みがある
- [ ] 給与支給総額を2%以上引上げ可能
□ 事業計画
- [ ] 既存事業の「深化」または「発展」に該当する取組がある
- [ ] 800万円以内の設備投資・経費の計画がある
「自社が対象になるか不安」「申請書の書き方がわからない」という場合は、補助金申請サポートを専門とする行政書士への相談をおすすめします。