はじめに
一般的な補助金申請では事業計画書を作成する必要があります。
採択率を高めるには、受付開始前に事業仮説をしっかり固めておくことが重要です。
本記事では、申請準備として取り組むべき事業仮説の構築方法について解説します。
事業仮説とは何か
事業仮説とは、「この事業をこのように展開すれば、このような成果が得られるはず」という仮の答えです。
補助金申請では、この仮説の説得力が採択を左右します。
審査員は「本当にこの事業で成果が出るのか」を厳しく見ます。
そのため、思いつきではなく、根拠に基づいた仮説を立てる必要があります。
固めるべき5つの仮説要素
固めるべき5つの仮説要素
1. 市場仮説:誰が顧客になるのか
具体的なターゲット顧客を明確にします。
「中小企業全般」ではなく、「従業員20名以下の製造業で、デジタル化が遅れている企業」といった具体性が必要です。
市場規模も調べましょう。
統計データや業界レポートを活用し、「この市場には○○社あり、そのうち○割が潜在顧客」と数字で示せると説得力が増します。
2. 課題仮説:顧客はどんな困りごとを抱えているか
ターゲット顧客が実際に直面している課題を特定します。
ヒアリングやアンケートで生の声を集めることが理想的です。
「人手不足で困っている」だけでなく、「具体的にどの業務で、どれくらいの工数がかかっているのか」まで掘り下げます。
3. 解決策仮説:どのように課題を解決するのか
自社の新事業が、その課題をどう解決するのかを明確にします。
既存のソリューションとの違い、自社ならではの強みを整理しましょう。
技術的な実現可能性も重要です。
「このシステムを導入すれば」と書いても、そのシステムが本当に構築できるのか、裏付けが必要です。
4. 収益仮説:どうやって売上・利益を上げるのか
価格設定、販売計画、原価構造を具体的に検討します。
「月額○万円で○社と契約すれば、年間売上○○万円」という試算を作りましょう。
利益率も重要です。
補助金で初期投資を抑えられても、継続的に利益が出なければ事業として成立しません。
5. 実現可能性仮説:自社にできる根拠は何か
これまでの実績、保有する技術やノウハウ、協力者の存在など、「なぜ自社がこの事業を実現できるのか」を示します。
外部リソースを活用する場合は、具体的な協力先や連携の目処を立てておくと良いでしょう。
仮説検証のステップ
デスクリサーチ
まずは既存の情報を集めます。
業界レポート、統計データ、競合他社の情報、関連する論文や記事などを調査します。
中小企業白書や業界団体の資料は、市場動向を把握するのに有効です。
無料で入手できる公的資料を活用しましょう。
顧客インタビュー
可能であれば、想定顧客に直接話を聞きます。
5〜10社程度でも、リアルな課題やニーズが見えてきます。
「この事業があったら使いますか」という質問だけでなく、「現状どんな方法で対応していますか」「それにいくらかけていますか」と具体的に聞くことが大切です。
数字で裏付ける
感覚ではなく、できるだけ数字で示します。
市場規模、想定顧客数、価格帯、原価率など、試算できるものは全て数値化しましょう。
完璧な数字である必要はありません。
「現時点での最善の見積もり」として、根拠を示しながら提示することが重要です。
事業計画書(申請書)への落とし込み
事業計画書の構成
多くの補助金申請書には「事業の内容」「市場分析」「実施体制」などの項目があります。
固めた仮説をこれらの項目に当てはめていきます。
審査員が読みやすいよう、論理的な流れを意識しましょう。
「市場にこんな課題がある→だからこの事業が必要→こうやって実現する→その結果こうなる」という筋道を明確にします。
図表の活用
文章だけでなく、図表を使って視覚的に示すと伝わりやすくなります。
市場規模のグラフ、事業スキーム図、収支計画表などを適切に配置しましょう。
ただし、装飾的な図表ではなく、内容を理解しやすくするための図表であることが大切です。
客観性の担保
「思います」「考えます」ではなく、「データによれば」「ヒアリング結果では」と客観的な根拠を示します。
引用する場合は出典を明記し、信頼性の高い情報源を選びましょう。
補助金申請までのスケジュール
申請の1ヶ月前まで
事業仮説の構築と検証に集中します。
デスクリサーチ、顧客ヒアリング、試算作成などを進めましょう。
この段階で仮説がしっかり固まっていれば、事業計画書(申請書)作成はスムーズに進みます。
申請の2週間前まで
申請書の下書きを作成します。
固めた仮説を各項目に落とし込み、全体の整合性を確認します。
第三者に読んでもらい、フィードバックをもらうと良いでしょう。
専門家に事前相談することも有効です。
申請の数日前
最終確認と提出準備です。
必要書類を揃え、記入漏れや誤字脱字がないかチェックします。
締切ギリギリではなく、余裕を持って提出できるよう準備しておきましょう。
まとめ
補助金採択の鍵は、受付開始前にどれだけ事業仮説を固められるかにかかっています。
市場仮説、課題仮説、解決策仮説、収益仮説、実現可能性仮説の5つを、データと根拠に基づいて構築しましょう。
採択率を高めるために、丁寧な事前準備を心がけてください。
※本記事は一般的な補助金申請のポイントを解説したものです。
具体的な公募要領は公表後に必ず確認してください。
申請に不安がある場合は、専門家へのご相談をお勧めします。