はじめに──「東京都の補助金」は、国とは別に募集されます

中小企業が活用できる補助金といえば、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金などの国の制度が頭に浮かぶ方が多いでしょう。
しかし、東京都には国の制度とは別に、都内事業者だけが使える独自の補助金(助成金)制度が数多く存在します。

2026年度(令和8年度)の東京都予算案では、中小企業支援に関して大幅な拡充がなされており、新規制度も複数スタートしています。
国の補助金と併用できる場合も多く、知っているかどうかで大きな差が生まれます。

本記事では、2026年度に活用できる東京都主催の補助金・助成金を7つ厳選し、目的別に選び方と活用ポイントをわかりやすく解説します。

本記事の情報は2026年3月時点のものです

未発表部分が多いため、各制度の詳細・最新情報は必ず実施機関の公式サイトでご確認ください。
また「創意工夫チャレンジ促進事業」「DX推進トータルサポート事業」「中小企業収益力強化サポート事業」は令和8年度予算案で計上された新規制度のため、公募開始時に要件等の最新確認が必要です。

【全体像】東京都の補助金を目的別に整理する

まず、どの制度がどんな目的に対応しているかを一覧で確認しましょう。

制度名上限額主な目的
① 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業800万円〜業務改善・新市場進出・賃上げ
② 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業2億円大型設備投資・競争力強化・DX
③ DX推進トータルサポート事業(新規)未定(予算31億円)DX推進・デジタル技術導入
④ 中小企業収益力強化サポート事業(新規)未定(予算22億円)収益力向上・経営改善
⑤ 明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業2,000万円ものづくり・受託サービスの高度化
⑥ BCP実践促進助成金1,500万円防災・事業継続対策・システムクラウド化
⑦ 市場開拓助成事業(展示会出展・販路開拓)150万円展示会出展・販売促進・EC出店

① 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業【予算103億円・2026年度新規】

概要

2026年度に新たにスタートする東京都の主力助成制度。業務改善・新市場進出・賃上げの3コース

令和7年度まで実施されていた「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(*)」をさらに発展させた後継制度です。
中小企業の成長を見据えた業務改善や新事業展開を後押しするため、必要な経費の一部を助成するとともに、専門家によるアドバイスを実施します。

(*)直近2年間、もの凄い人気でした。新制度もほぼ同様な条件ですので人気化必至??

3つのコースと特徴

コース主な対象取組特徴
設備導入等による業務改善コース設備導入を軸とした既存事業の深化幅広い業種・規模に対応
新市場・新分野進出コース新事業の実施による収益の多角化新規事業に挑戦する企業向け
賃上げ促進コース業務改善+賃金引上げ計画の実施賃上げで助成率がさらにアップ

活用ポイント

  • 前年度の「経営基盤強化事業」と同様に、不動産賃借料も対象経費になる可能性が高い(新市場進出の拠点開設など)
  • 賃金引上げ計画を組み合わせると助成率が上乗せされる優遇制度あり
  • 専門家によるアドバイス(アドバイザー派遣)がセットで提供される点が大きな強み
  • 年間複数回の公募が予定されているため、タイミングを選んで申請可能

② 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業【予算191億円・継続】

概要

東京都最大級の設備投資助成制度。最大2億円という圧倒的な規模が特徴。

都内中小企業が「製品・サービスの質的向上」による競争力強化や「生産能力の拡大」のための機械設備等を導入する際に、経費の一部を助成します。
2026年度予算は前年度比で大幅増の約191億円に拡大されており、東京都の本気度が伺えます。

基本情報

項目内容
助成上限額最大2億円(区分・要件により異なる)
助成率1/2〜4/5(ゼロエミ・賃上げ要件で上乗せ)
対象都内で2年以上継続して事業を行う中小企業
申請方法Jグランツ(申請予約が必要・GビズIDプライム必須)
公募回数年3回程度

申請できる主な事業区分

競争力強化/DXの推進/イノベーションの推進/後継者支援/アップグレード促進(ゼロエミ+賃上げ要件)

活用ポイント

  • 1基50万円(税抜)以上の機械装置・器具備品・ソフトウェアが対象
  • 書類審査に加え面接審査があるため、質の高い事業計画書の準備が採択の鍵
  • 製造業・医療・IT・建設業など幅広い業種で豊富な採択実績
  • 採択率は25〜40%程度。専門家サポートで採択率が大幅に向上する

③ DX推進トータルサポート事業【予算31億円・2026年度新規】

概要

DXを本格的に進めたい中小企業に向けた、支援+助成金がセットの総合制度。

アドバイザーによるDX戦略の策定支援・デジタル技術の導入から活用まで、長期的なサポートと助成金が一体化した制度として新設されます。
令和7年度まで実施されていた「DX推進支援事業」を大幅に拡充した後継制度と位置づけられています。

制度の特徴

  • アドバイザー派遣(無料):専門家が現地訪問し、課題を明確化したうえでDX戦略を策定。導入後のフォローまで一貫して支援
  • 助成金:アドバイザーの提案書に基づいたデジタル技術導入費用の一部を助成
  • ICT・IoT・AI・ロボットなど幅広いデジタル技術が対象

活用ポイント

  • アドバイザー支援を受けた企業のみが助成金申請できる仕組み。まず支援申込みが先決
  • 「何からDXを始めていいかわからない」企業に最適。専門家に伴走してもらいながら着実に進められる
  • 助成金申請の前に最低3か月程度の支援期間が必要なため、余裕を持ったスケジュール計画が重要

④ 中小企業収益力強化サポート事業【予算22億円・2026年度新規】

概要

物価高騰など厳しい経営環境の中で、収益力向上を目指す中小企業を支援する新制度。

物価高騰により事業継続に苦心している中小企業に対し、収益力向上に向けた計画策定や実行への伴走支援・経費の一部助成などを実施します。
2026年度予算案で新設が発表された制度です。

制度の特徴

  • 収益力向上に向けた「計画策定」から「実行支援」まで一体的にサポート
  • 専門家(支援機関)による伴走支援がセットで提供される
  • 物価高騰・コスト上昇に直面する企業が優先的にターゲット

活用ポイント

  • 令和7年度まで実施されていた「中小企業活力向上プロジェクト」等の流れを継承する制度
  • 売上減少や損失計上に悩む企業にとって特に有効な制度
  • 「まず専門家に現状分析をしてもらう」ことが助成金申請へのルートになる

⑤ 明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業

概要

製造業・受託サービス業向けの技術高度化支援。東京都中小企業団体中央会が実施。

東京都内の中小企業が自社の技術・サービスの高度化・高付加価値化を目指して取り組む技術開発等の経費を助成する制度です。
下請け・受注型の中小企業が競争力を高めるための制度として、長年実績があります。

基本情報

項目内容
助成上限額小規模企業区分:1,000万円 / 一般区分:2,000万円
助成率最大2/3
申請区分ものづくり区分(製造業)/受託サービス区分
実施機関東京都中小企業団体中央会
申請方法書類郵送(簡易書留)

対象経費(主なもの)

原材料費・副資材費・機械装置費・外注加工費・展示会出展費・広告費など

活用ポイント

  • 技術・製品開発に加え、展示会出展費・広告費も対象経費になる点がユニーク
  • 書類審査+面接審査(技術審査・経営審査)があるため、早めの準備が必須
  • 申請期間が約1か月と短いため、公募開始前から準備しておくことが重要
  • 受注型の製造業・サービス業で「下請けから脱却して競争力を上げたい」企業に最適

⑥ BCP実践促進助成金

概要

地震・感染症などの緊急事態に備えるBCP(事業継続計画)の実践を支援。防災備品から基幹システムのクラウド化まで対象。

策定したBCPを実践するために必要な物品・設備等の導入費用と、基幹システムのクラウド化費用の一部を助成します。
東京都中小企業振興公社が実施する制度で、2026年度も継続が見込まれます。

基本情報

項目内容
助成上限額1,500万円(基幹システムのクラウド化は上限450万円を含む)
助成率中小企業者:1/2 / 小規模企業者:2/3
申請要件BCP策定支援事業受講または「事業継続力強化計画」認定が前提
実施機関東京都中小企業振興公社

対象経費(主なもの)

発電機・UPS・安否確認システム・防災備蓄品・感染症対策品・基幹システム(ERP・CRM等)のクラウド化費用など

活用ポイント

  • 申請前にBCP策定支援事業への参加または「事業継続力強化計画」の認定が必要
  • 基幹システムのクラウド化は別途上限額(450万円)が設定されており、IT投資とBCP対策を同時に進められる
  • 「事業継続力強化計画」は国の制度で、認定取得自体が補助金申請の加点にもなる
  • 補助金の加点・融資優遇・税制優遇と多面的なメリットがあるため、BCP対策は早めに取り組むべき

⑦ 市場開拓助成事業(展示会出展助成プラス)

概要

販路開拓に取り組む中小企業向け。展示会出展費・EC出店・販促物制作費を助成。

都内中小企業の新規取引先開拓を支援するため、展示会出展等に係る経費の一部を助成します。
2025年度は「展示会出展助成プラス」として年間10回の公募が実施されており、2026年度も継続見込みです。

基本情報

項目内容
助成上限額150万円
助成率2/3
対象経費展示会参加費(出展小間料・資材費・輸送費)、EC出店初期登録料、販促費(印刷物・動画・広告・サイト制作)
申請要件東京都・公社の事業で評価・認定を受けた製品、または成長産業分野の製品・サービスを出展すること
公募回数年間複数回(月1回程度)

活用ポイント

  • 事前に「中小企業活力向上プロジェクトアドバンスプラス」による経営分析を受けることが申請要件
  • 展示会参加費だけでなく、EC出店の初期費用や販促物制作費まで幅広く対象
  • 販売促進費のみの申請は不可。展示会参加費とセットでの申請が必要
  • 新規取引先の開拓・ブランド認知向上を目指す中小企業に最適

補助金選びの3つのチェックポイント

① まず「何をしたいか」から選ぶ
設備投資なら②、DX推進なら③、収益改善なら④、防災・BCP対策なら⑥、展示会・販路開拓なら⑦というように、目的と制度をマッチングさせることが第一歩です。

② 「専門家支援がセット」の制度は早めに動く
③DX推進トータルサポートや④収益力強化サポートのように、専門家支援を受けることが助成金申請の前提となっている制度は、申請を希望する日程の3〜6か月前から動き始める必要があります。

③ 交付決定前の発注・購入は対象外
どの制度も共通して、「交付決定日より前に契約・発注・購入した経費は対象外」です。
設備購入や工事の発注は必ず交付決定後に行いましょう。
補助金申請のスケジュールを先に決めてから、実行計画を組み立てることが基本です。

何度も言っていますが、くれぐれも「補助金から事業計画を立てるのではなく、事業計画を立ててから活用できる補助金を選択」が基本です。

まとめ──東京都の補助金は「制度を知っている会社」が有利

東京都には毎年数百億円規模の中小企業向け助成予算が投じられています。
この恵まれた環境を活かさない手はありません。

東京都の補助金は公募期間が短いのものが多く見逃しやすいので注意してください。
2026年度は新規制度も複数スタートしており、早めに情報を把握して準備を進めることが重要です。

一方、補助金申請には質の高い事業計画書の作成が不可欠です。
「採択されるための書き方」「事業計画の組み立て方」を熟知した専門家のサポートを得ることで、採択率は大きく変わります。

行政書士飯島事務所は、認定支援機関として東京都・国の補助金申請を一貫してサポートしています。
補助金申請のトップクラスの採択率を誇り、申請書類の作成から採択後の交付申請・実績報告まで、面倒な手続きを丸ごと対応します。

  • 東京都の補助金(創意工夫チャレンジ、躍進的な設備投資支援、BCP実践促進等)の申請サポート
  • 国の補助金との組み合わせ戦略のご提案
  • 採択後の交付申請〜実績報告まで、面倒な後工程も一貫してサポート

「自社に使える補助金があるか確認したい」「事業計画書の書き方がわからない」という方は、まずはお気軽にご相談ください。
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