「東京都の補助金と国の補助金を両方もらえると聞いたが、本当か?」

補助金の相談をお受けする中で、最も多い質問の一つがこれです。
結論から言うと、「条件次第でYES、ただし原則は同一経費への重複NG」です。

「どちらかしか使えない」と思って損をしている事業者がいる一方で、「どちらも使えるはず」と思って不正受給のリスクを犯してしまう事業者もいます。
このテーマは、知っているかどうかで受取額と申請リスクの両方が大きく変わる重要なポイントです。

本記事では、補助金の併用に関する基本ルールと、実際に使える組み合わせ戦略を具体的に解説します。

まず押さえる「重複禁止」の基本原則

補助金の世界には、「同一事業・同一経費に対して、複数の公的補助を重複して受給することはできない」という大原則があります。

これは国の補助金同士の間でも、東京都の助成金同士の間でも、そして国と東京都の間でも同様に適用されます。
要するに、「同じ設備・同じ費用に対して二重に補助を受けることは許されない」というルールです。

たとえば、1台の機械を購入するために国のものづくり補助金で補助を受けつつ、同じ機械に対して東京都の設備投資支援事業から助成を受けることは、原則として認められません。

なぜこのルールが存在するのか?
それは補助金の財源が税金であるため、同じ費用に対して二重に公費を投入することは、財政上の二重支出にあたります。
各補助金の公募要領には「他の補助金等との重複受給はできない」といった条文が必ず記載されていますので、申請前に必ず確認してください。

「重複」にならない3つのパターン

では、一切組み合わせられないかというと、そうではありません。
以下の3つのパターンでは、複数の補助金を組み合わせることが可能です。

パターン①:経費区分(対象)が異なる場合

異なる設備・費用ごとに、それぞれ別の補助金を使うのは問題ありません。

例えば、設備機器の購入費には東京都の「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」を使い、同じ年にソフトウェア・デジタルツールの導入費には「中小企業デジタルツール導入促進支援事業(デジタルツール助成金)」を活用する、といった使い方です。

この場合、両者の対象経費が重複していないため、それぞれが独立した申請として認められます。

費用の種類使う制度
製造機械の購入費東京都・躍進的な事業推進 設備投資支援事業
会計・業務管理ソフト東京都・中小企業デジタルツール導入促進支援事業
販売促進・広告費東京都・市場開拓助成事業
BCP対策の備品・クラウド化東京都・BCP実践促進助成金

このように、同一年度内でも目的・経費が異なる複数の制度を並走させることは可能です。
これは補助金活用の上級テクニックのひとつです。

パターン②:時期(年度・事業期間)が異なる場合

同じ補助金制度でも、年度が変われば再申請できる場合があります。
また、今年度に国の補助金でA設備を導入し、翌年度に東京都の助成金でB設備を導入する、といった時系列での使い分けも有効な戦略です。

複数年にわたる設備投資計画を立て、どの年度にどの補助金を使うかを事前に組み立てておくことが、補助金を最大限に活用する経営の基本です。(計画が重要!)

パターン③:財源が異なる(国の補助金と都の独自財源)

東京都の助成金には、都の独自財源(都税)を原資とするものが多くあります。
これらは国の補助金とは財源が別であるため、「同じ費用に対する二重助成」にはあたらないと整理される場合があります。

ただし、これは制度ごとに公募要領の条件を丁寧に確認する必要があります。
必ず各制度の公募要領で要件を確認してください。

【重要】東京都と国の主要制度:組み合わせ可否の考え方

以下は、中小企業がよく活用する制度の組み合わせについて、考え方の整理です。
ただし最終的な可否は各制度の公募要領と実施機関への確認が必須です。

組み合わせ同一経費への重複考え方
東京都・設備投資支援事業 + 国・ものづくり補助金(同一設備)❌ 不可同一経費への重複助成にあたる
東京都・設備投資支援事業(設備費) + 国・ものづくり補助金(別設備✅ 可能性あり経費が分離されていれば可。要件確認必須
東京都・デジタルツール助成金 + 東京都・設備投資支援事業(別経費✅ 可能性あり対象経費が異なれば同年度内でも申請可能な場合あり
東京都・BCP実践促進助成金 + 国のものづくり補助金(別取組✅ 可能性あり目的・対象が明確に異なれば可。要件確認必須
国の補助金A + 国の補助金B(同一事業・同一経費)❌ 不可国同士でも同一事業・同一経費への重複はNG

実践的な「組み合わせ戦略」

戦略①:設備投資は「東京都」、ソフト・DXは「別制度」で分ける

大型の設備投資(機械・装置)は、最大2億円を誇る東京都「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」で申請し、同時期に業務効率化のためのソフトウェアやデジタルツール導入は「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」や「DX推進トータルサポート事業」を活用するという分け方です。

対象経費が明確に区分されるため、それぞれの制度で審査を受けることができます。
設備投資とDXを同時に進める企業にとって、おすすめの組み合わせパターンです。

戦略②:「時間軸」で国と東京都を交互に活用する

たとえば、今年度は国の補助金(ものづくり補助金など)で新製品開発・試作への投資を行い、翌年度は量産・競争力強化のための設備を東京都の助成金で導入する、という時系列の組み合わせです。

国の補助金は試作・開発向けの制度が充実している一方、東京都は「量産フェーズ」の設備投資に強みがあります。
この特性の違いを活かし、フェーズごとに使い分けることが有効です。

戦略③:「加点」を活かして採択率を上げながら制度を組み合わせる

補助金の採択審査では「加点項目」が重要な役割を果たします。
補助金の組み合わせではありませんが、たとえば国の「事業継続力強化計画」の認定を取得、国の補助金での加点になるだけでなく、東京都の「BCP実践促進助成金」の申請要件を満たすことにもなります。

このように、ある制度への申請が別の制度の要件充足や加点につながる「連鎖効果」を意識した申請設計が、複数制度を上手に組み合わせるコツです。

不正受給のリスクと代償

複数の補助金を組み合わせる際に最も注意すべきは、不正受給です。
「ばれなければよい」という考え方は絶対に禁物です。(ほぼ、バレます)

補助金の不正受給が判明した場合、以下のような代償を伴います。

  • 補助金の全額返還(ペナルティ加算が上乗せされる場合あり)
  • 交付決定の取り消し
  • 氏名・社名の公表
  • 刑事罰(詐欺罪等)の適用

補助金は後払い(精算払い)が原則です。
実績報告の段階で他の補助金との重複が発覚するケースも少なくありません。
申請前に必ず要件を確認し、不明点は各制度の実施機関に問い合わせることが重要です。

補助金の「後払い」と資金繰りにも注意

複数の補助金を同時進行で活用する場合、もう一つ注意すべきことがあります。それは資金繰りです。

補助金・助成金は原則として「先に自己資金で経費を支出し、後から補助金が振り込まれる」後払い方式です。
複数の補助金を同時進行させると、当初に立て替える自己資金が膨らみます。
計画段階で必要な手元資金を試算し、場合によっては金融機関との事前相談も行っておくことをおすすめします。

補助金の「重複禁止」と「組み合わせ活用」は別物

補助金の組み合わせ活用は、正しいルールを理解したうえで行うことで、自社の投資コストを大幅に抑える強力な経営戦略になります。
「どう組み合わせれば最大化できるか」の設計こそが、上手な補助金活用です。

行政書士飯島事務所は、認定支援機関として国・東京都の補助金申請を一貫してサポートしています。
「どの補助金の組み合わせが自社に最適か」の相談から、申請書類の作成、採択後の交付申請・実績報告まで、丸ごとお任せいただけます。

複数制度の組み合わせを検討している場合は、早い段階でご相談いただくことで、年間の申請スケジュールを最適に設計することができます。

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