「まだ60代だから大丈夫」――その油断が、会社を終わらせる

「まだ元気だし、引退はずっと先の話だ」。そう思っていませんか?

2025年の調査によると、全国の社長の平均年齢は60.8歳となり、1990年以降35年連続で過去最高を更新しました。
そして60代の経営者のうち約半数が、いまだに事業承継の準備に着手できていないというのが現実です。

さらに深刻なのは、中小企業の事業承継準備には一般的に5年から10年以上を要するとされていることです 。
平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、60歳ごろには準備を始めることが必須です。
「まだ大丈夫」という根拠のない安心感こそが、会社を廃業へと追い込む最大のリスクなのです。

数字が語る「待ったなし」の現実

127万社が後継者不在の危機に直面

中小企業庁の試算では、経営者が70歳以上の中小企業・小規模事業者は約245万社に達し、そのうち約127万社が後継者不在という深刻な状況にあります。
これは日本企業全体の約3分の1に相当する規模です。

このまま事業承継問題を放置すれば、約650万人の雇用損失と約22兆円のGDP消失が見込まれるとされています。
廃業は「個人の決断」ではなく、従業員・取引先・地域経済を巻き込む社会的な問題です。

「黒字廃業」という悲劇が急増中

注目すべきは、廃業企業の多くが赤字ではないという事実です。
業績は好調にもかかわらず、後継者が見つからないために廃業を選ぶ「あきらめ廃業」が深刻化しています。

2025年の後継者不在率は東京商工リサーチの調査で62.60%に上り、代表者が60代の企業では49.1%が後継者不在という状況です。
せっかく育て上げた会社を、後継者問題だけで失ってしまうのは、あまりにも惜しい話ではないでしょうか。

なぜ60代こそが「ゴールデンタイム」なのか

60代での事業承継着手が最もメリットが大きい理由は、3つあります。

① 時間が「最大の武器」になる

後継者の育成には最低でも3〜5年、場合によっては10年以上かかります。
60代前半に着手すれば、十分な時間をかけて後継者を育て、段階的に権限を委譲できます。
70代に入ってから慌てても、選択肢は激減します。

② 税務対策の選択肢が豊富にある

株式の贈与・譲渡には贈与税・相続税・譲渡所得税が関わります。
60代のうちに動き始めれば、事業承継税制(贈与税・相続税の猶予・免除制度)の活用や計画的な生前贈与によって、税負担を大幅に軽減できます。
70代以降では、健康状態の変化などにより選択肢が狭まります。

③ 会社を「高く・有利に」引き継げる

M&Aを選択する場合、経営者が若く体力があるうちに交渉を進めた方が、より有利な条件で売却できます。
経営者が高齢・病床の状態で売却を急ぐと、買い手に足元を見られるリスクがあります。
また、会社の財務状況や事業の磨き上げにも時間をかけられるため、評価額の向上も期待できます。

60代経営者が「今すぐ」やるべき5つのアクション

「具体的に何から手をつければいいのか」という経営者のために、優先度の高い順にまとめました。

アクション1:後継者候補を「見える化」する

まず、候補者リストを作ることから始めましょう。
親族(子・甥・姪など)、社内の役員・社員、社外(M&Aの相手先)という3つの軸で、それぞれの可能性を検討します。
「誰もいない」と諦める前に、第三者承継(M&A)という選択肢も視野に入れることが重要です。

アクション2:自社株式の状況を把握・整理する

長年経営してきた会社では、株式が複数の親族に分散していたり、名義が不明確になっているケースが少なくありません。
相続発生後に株式をめぐるトラブルが生じると、承継が著しく困難になります。
現在の株主構成と評価額を今すぐ把握しましょう。

アクション3:財務の「見える化」を進める

財務状況が不透明な会社は、後継者からも買い手からも敬遠されます。
税理士・認定支援機関と連携して、貸借対照表・損益計算書を正確に整理し、個人資産と会社資産の区別を明確にすることが第一歩です。

アクション4:「経営者依存」を脱却する

「社長しか知らない」業務・取引先・ノウハウが多い会社は、承継リスクが非常に高くなります。
業務のマニュアル化、ITツールの活用による情報共有、組織図の整備などを進めて、「社長がいなくても回る会社」に近づけることが重要です。

アクション5:専門家に相談し「事業承継計画」を作る

上記4つのアクションを単独で進めようとしても、限界があります。
認定支援機関・税理士・行政書士などの専門家と早めに連携し、事業承継計画書として文書化することで、承継のゴールと道筋が明確になります。

「動けない」経営者が陥りがちな3つの思い込み

事業承継を先送りする経営者には、共通した心理パターンがあります。

「まだ元気だから急がなくていい」
健康は突然失われることがあります。
急な病気や事故のリスクは年齢とともに高まります。
元気なうちに動くことが、最大のリスクヘッジです。

「後継者候補がいないからどうしようもない」
後継者がいないなら、M&A・第三者承継という選択肢があります。
2026年現在、中小企業M&Aの件数は過去最高水準で推移しており、売り手市場の傾向も続いています。
「候補者がいない=廃業」ではありません。

「まだ会社を手放したくない」
事業承継は「引退」ではありません。
後継者をサポートする顧問として関わり続けることも可能です。
会社を残し、従業員を守ることへの「責任」として捉え直すことが、前向きな一歩につながります。

2026年、事業承継は「生存戦略」から「使命」へ

2026年現在、黒字廃業や後継者不在による市場退出は過去最多水準で増加しています。
これは単なる個人の問題ではなく、地域経済や雇用を守るための社会的課題です。

60代という「時間的余裕がある今」だからこそ、選択肢が豊富にあります。
5年後・10年後に「あの時動いていれば…」と後悔しないために、まずは専門家への相談という一歩を踏み出してください。

認定支援機関に登録した専門家であれば、財務分析・承継計画の策定・補助金の活用・IT化によるコスト削減まで、一気通貫でサポートできます。
今この瞬間が、あなたの会社の未来を守る最善のタイミングです。


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